SNSを中心に密かに注目を集めていた異色のサービス「レンタル怖い人」が、2025年7月末に予告なく終了したことが公式X(旧Twitter)で発表されました。
それまで、あまり目立たなかったこのサービスは、「強面の人を時間制で呼べる」というユニークな発想が話題を呼び、一部で“心のよりどころ”として注目されていた存在です。しかし、盛り上がりを見せた直後に突如終わりを告げ、ユーザーの間に衝撃が走りました。
いったい何があったのか?
「諸事情」の真意とは何なのか?
この記事では、「レンタル怖い人」の実態、終了に至った背景、ネット上で飛び交う見解、そして今後似たようなサービスがどうなるのかをじっくり掘り下げていきます。
◆ レンタル怖い人ってどんなサービスだった?
● 強面スタッフを“時間貸し”するという斬新な発想
「レンタル怖い人」とは、名前の通り“見た目が威圧的な人”をレンタルできるサービスでした。運営者が公開していた説明によれば、以下のような場面での利用を想定していたようです:
- いじめや嫌がらせなどの現場での立ち会い
- 金銭トラブルでの話し合いへの同席
- メンタルが不安定な時の付き添い
- 一人では不安な交渉や訪問への同行
特に、実際に紹介されていたスタッフの中には、タトゥーが見える人物や鋭い表情を持つ人が含まれており、「見た目の圧力」がポイントだったことは間違いありません。
◆ サービス料金と運用体制は?
料金体系は以下のように設定されていました。
- 30分:2万円
- 3時間:5万円
やや高額にも感じられますが、公式案内では「たいていの依頼は30分で片付く」と記載されており、“圧力を感じさせる存在感”こそが主な価値だったと考えられます。
ただし、このような内容ゆえ、運用には慎重さが求められ、実際の現場での判断力や対応力が不可欠だったと想像されます。
◆ 2025年7月31日、公式SNSに突如“終了”の一報
サービスが注目されてきた矢先、公式Xアカウントに投稿されたのは、次のような一文のみ。
「諸事情により当サービスは終了しました。」
わずかこれだけで、詳細な説明もなし。利用者・閲覧者の間で**「唐突すぎる」「何があったのか知りたい」**という戸惑いの声が噴出しました。
この一文をきっかけに、ネット上ではさまざまな憶測が飛び交う事態に発展します。
◆ なぜ急に終わったのか?考えられる3つの理由
公式には明言されていないものの、終了の背景には以下のような要因が絡んでいたのではないかと見られています。
● 1. 法的なリスクへの懸念
表向きは「立ち会うだけ」「付き添うだけ」とされていても、相手によっては威圧感=脅迫と受け取られる可能性があります。
たとえば、交渉の場に“いかつい風貌の第三者”が同席していた場合、
- 「圧力をかけられた」
- 「自由な意思で話せなかった」
- 「恐怖を感じた」
と主張されれば、恐喝・脅迫未遂、業務妨害などの法的トラブルに発展する危険性がゼロではありません。
サービス提供者が法的助言や監修を受けていなかった場合、そうしたリスクに対する備えが不十分だった可能性もあります。
● 2. 倫理的・社会的な反発
SNSではサービスを支持する声もありましたが、次のような批判も相次いでいました。
- 「暴力の代替に見える」
- 「人の見た目で物事を解決しようとするのは問題」
- 「倫理的に受け入れがたい」
特に、家族や職場のトラブルといった繊細な状況に「怖い人」を呼ぶという構造に、**“現代社会が目指す解決手法とは逆行している”**と感じる人も少なくなかったようです。
● 3. 運営の体制的な限界
突如注目を集めたことで、問い合わせや依頼が急増した可能性があります。それに対して、
- 対応スタッフの確保が追いつかない
- サポートや運営管理がパンクした
- クレーム対応が膨大になった
といった現実的な負担が膨らみ、継続運営が困難になった可能性も考えられます。
◆ ユーザー・ネットの反応は賛否両論
サービス終了後のSNS上では、以下のような声が飛び交いました。
肯定派の声:
- 「いざというときに心強い味方がいた」
- 「いじめやハラスメントへの抑止力になる」
- 「ちゃんとしたルールで運営すれば社会的価値がある」
否定的な意見:
- 「暴力の片棒を担いでいるようなもの」
- 「コンプライアンス違反になる可能性が高すぎる」
- 「法律のグレーゾーンを行き来している感じが不安」
中立・困惑気味な反応:
- 「話題になって消えるまでが早すぎて怖い」
- 「何か問題が起きたのでは…」
- 「続報がないのが不自然すぎる」
◆ “レンタル○○”というトレンドの光と影
「レンタル彼氏」「レンタル友達」「レンタルおじさん」など、個人のニーズに応じて他者を時間単位で呼べるサービスはここ数年で一気に増加しました。
この「レンタル怖い人」もその派生といえますが、威圧感をウリにしている点では他のサービスとは明確に異なります。
その特性ゆえに、
- 依頼者と“敵対する相手”との関係性
- 事後のトラブルや報復の可能性
- 心理的被害に対する責任問題
など、非常に扱いの難しい課題を孕んでいました。
◆ 今後似たサービスは現れるのか?再登場の可能性は?
同様のニーズが消えることはないかもしれません。現代社会において、「自分だけでは解決できない場面で誰かにいてほしい」と感じる人は少なくありません。
ただし、次に登場する際は、以下のような形に進化する必要があるでしょう。
- 法律に準拠したカウンセラー的な立場の同行者
- 威圧ではなく「防犯」「安心感」を重視したセキュリティ系サービス
- オンライン同席や通話サポートなど非接触型の代替手段
“強面”というブランド性を失ってしまえばオリジナリティが失われるかもしれませんが、社会的信用を得るには一定のリスク管理が不可欠です。
◆ まとめ:頼れる存在を「借りる」ことへの是非
「レンタル怖い人」は、現代人が抱える孤独、ストレス、対人関係の限界といった問題に対して、“第三者を介して安心を得ようとする”という選択肢を示した事例でした。
ただし、その手段が「怖さ」という曖昧で時に暴力的な要素を含むものだったがゆえに、社会的な議論を避けられなかったのも事実です。
私たちはこれから、どこまで他人に頼り、どのような形で心の支えを得るのか——。
その在り方そのものを、再考する時期にきているのかもしれません。
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