2025年、福岡県で起きた大規模詐欺事件が全国の注目を集めました。逮捕されたのは、自称・占い師の田斉法子(たさい のりこ)容疑者(51歳)。彼女は「投資に絶大な効果がある」と信じさせる手法で多数の人から資金を集め、その被害総額は20億円にも及ぶとされています。
多くの人々がなぜ彼女を信じ、資金を預けたのか?そこには、巧みに演出された“信頼”と“スピリチュアル”を融合させた戦略がありました。
◾️ 田斉法子の顔画像はあるのか?
報道では、田斉容疑者が送検される際の映像が使用されているケースがありましたが、現段階で顔全体がはっきり確認できる鮮明な画像は公開されていません。
報道映像では、マスク姿や角度の問題で顔の特徴は断片的にしか把握できませんが、関係者の証言によれば、
- 年齢よりも若く見える印象
- ブランド志向の強い服装(エルメスやグッチなど)
- 手入れの行き届いた髪型とネイル
など、見た目に気を遣っていた人物であることがわかっています。外見の整え方が「信頼感」を高めるツールとして使われていた可能性は否定できません。
◾️ 経歴は?どこで何をしてきた人物?
田斉容疑者は、自己紹介の中で以下のような肩書を用いていたとされています。
- 「占星術師」
- 「風水コンサルタント」
- 「経営アドバイザー」
また、被害者の証言によれば、次のような“実績”を語っていたそうです。
「私の助言で上場企業の売上がV字回復した」
「風水に基づいた物件開発で億単位の利益が出た」
「有名企業の経営層も顧問契約している」
こうした発言により、田斉容疑者は専門知識と人脈のある成功者であるかのような印象を与え、被害者の信頼を獲得していたとみられています。
しかし、調査によって明らかになったのは、こうした話の多くに具体的な裏付けがないという事実です。学歴、職歴、資格など、公式に確認できる経歴情報はほとんど存在せず、虚構をベースに信頼を構築していた疑いが濃厚です。
◾️ SNS(Facebook・Instagram・X)は使っていた?
SNS上での活動についても注目が集まりましたが、現在のところ、
- X(旧Twitter)
いずれも本人と明確に特定されたアカウントは確認されていません。
考えられる理由は以下の通りです:
- 偽名アカウントを使用していた可能性
- SNSは使わず口コミ・紹介での顧客獲得に依存していた
- 事件発覚前にアカウントを削除した可能性
特に田斉容疑者の活動スタイルは、「紹介制の顧問業」という形に近く、インターネット上に痕跡を残さないオフライン主体の営業戦略が特徴的でした。
そのため、デジタル上の活動履歴は極めて乏しく、ネット検索でも情報が出てこない“実体のつかめない人物”だったともいえます。
◾️ 詐欺の手口と心理的テクニック
警察による発表や被害者の証言をまとめると、田斉容疑者の手口は極めて巧妙でした。以下にその特徴を整理します。
▽ ステップ①:関係性の構築
まずは、近所の知人やママ友など、生活圏での自然な接点を利用して接近。何度か会話や食事を重ねるうちに、占いや風水の話を小出しにして信用を獲得していきます。
▽ ステップ②:実績を匂わせる
「前にアドバイスした方が大成功した」
「経営者に助言してビルが完成した」など、過去の“成功例”を具体性なく語ります。
これにより、「この人は信頼できるプロだ」と思わせ、疑う余地を封じ込めるのです。
▽ ステップ③:少額投資から始めさせる
最初は数万円〜数十万円といった小さな投資を勧め、「利息」をつけて還元することで被害者の警戒心を解きます。
▽ ステップ④:金額を徐々に増やす
「この水晶を使って風水効果を高めた土地が売れる」
「大口案件が控えている」などと説得し、数百万円〜数千万円へと投資額を増加させていきます。
結果的に、1人で1億円以上を騙し取られたケースもあるといわれており、極めて深刻な被害をもたらしました。
◾️ 実際に起きた被害事例:幼稚園つながりで信頼を得たケース
報道で紹介されたある被害者夫婦によると、田斉容疑者との出会いは子どもが通っていた幼稚園の保護者同士という自然な関係から始まったそうです。
最初はランチを共にするような仲から始まり、「最近は投資コンサルの仕事もしている」と話題を切り出されたとのこと。次第に金銭の話へと移り、最終的には1億3000万円以上の現金を渡してしまったと証言しています。
◾️ 警察の捜査と今後の展開
田斉法子容疑者は、「お金は受け取ったが、騙すつもりはなかった」と供述しており、容疑を否認しています。
一方、警察は詐欺行為の立証に向けて以下の点に着目しているとされています。
- 取引記録と証言の照合
- 銀行口座の資金移動の分析
- 他の被害者の証言(被害者は70人以上とも)
被害総額は現段階で20億円規模と見られており、今後さらに被害届が増える可能性もあるとして、捜査は拡大の一途をたどっています。
◾️ 信頼と詐欺の境界線とは?
この事件は、「信用できる人」だと思い込んだ相手が、実は詐欺師だったという典型例です。
特に、“スピリチュアル”や“占い”といった目に見えない要素が絡む話題は、反論しづらく、信じてしまいやすいという特徴があります。
また、詐欺師は常に「高級ブランド」や「華やかな生活」などを演出し、“成功者”のイメージを植え付けることで、相手の判断力を奪う傾向があります。
◾️ まとめ|今後同様の詐欺を防ぐには
田斉法子容疑者による事件は、表面的な「信用」によって人々の金銭と信頼を奪ったという点で、非常に重大な問題を提起しています。
- どんなに身近な人物でも、大金のやり取りは慎重に
- 「スピリチュアル」「運気アップ」など曖昧な表現を鵜呑みにしない
- SNS非公開の人物にも注意
信頼と詐欺の間に明確な線引きはありません。しかし、「おかしいな?」と感じた瞬間に一度立ち止まり、冷静な判断をする力が求められています。
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